自宅にエスプレッソマシンを買い、自分でカフェラテを作れるようになった人の多くが、「きれいなラテアートが描きたい」と思っていることでしょう。
むしろ、なかにはラテアートを描くためにエスプレッソマシンを購入した人もいるはず。
ただ、ラテアートを始めようといざ道具を準備してみると、とある大事なものが足りないのに気づくはず。そう、コーヒーカップです。
今までは適当にカフェラテを入れていたマグカップも、アートを描こうと思うと極端に不便に感じます。
そこで今回は、初心者にもプロにもおすすめできるラテアート用のカップとはどんな大きさや形状のカップなのか、実際におすすめの製品などはあるのかをご紹介します。
“ラテアートが作れない”カップはない
まず、最初に知っておくべきことは、プロのバリスタなら「ラテアートが描けないカップ」はないということです。もちろん、カップによって作りやすさはありますし、描けないアートのパターンもあります。
ですが、チューリップやリーフぐらいなら、慣れたバリスタであれば、コーヒーカップだけでなく、マグカップや普通のガラスコップ、デミタス(カップ)などいろいろな形のカップでアートを描くことができます。

極論を言ってしまえば、「ある程度のラテアートを描けるかどうかはバリスタの技術次第」ということになります。
ラテアートを作るのに不向きなカップとは?
ただし、「ラテアートを描けないカップ」はありませんが、「ラテアートを描くのに不向きなカップ」はあります。
たとえば以下のような形状のカップです。
1. カップの高さが高い
2. テイクアウトカップやマグカップのように、底面が角ばっている
3. カップの表面の面積が狭い
まず、カップの表面が小さいと、アートを描くスペースが狭く、描けるアートの種類も減ってしまいます。
また、マグカップのように底面が角ばっていると、ミルクがうまく対流せず表面のクレマをつぶしてアートがキレイにならないこともあります。
カップの高さが高いカップも、アートを描き始めるタイミングをつかむのに慣れが必要です。

このように、ラテアートに不向きなカップを使えばアートは描きづらくなります。ですので、熟練したプロならともかく、初心者は「ラテアートに向いたカップ」で練習するのが一番なのです。
ラテアートにおすすめのカップとは?
今までは、ラテアーティストに人気のカップとして、イタリアの「Vertexのラテボウル」などが有名でした。カップの表面が広く、描けるアートの幅が大きいということで、ラテアーティストには人気だったわけです。
ただし、容量が12oz(360cc)もあるため、まずミルクを大量にスチーミング[泡立て]しなければいけません。スチーミングに使うミルクピッチャーも12ozサイズではなく、20ozサイズを使う必要が出てくるでしょう。
その時点で、家庭用のエスプレッソマシンではスチーミングできる能力がありませんし、業務用でもハンパなマシンでは、きれいにミルクを泡立てられない量になってきます。
「カフェや喫茶店で業務用エスプレッソマシンを使っていて、しかも360ccの大容量で提供するバリスタ」にしか使いづらいカップだったわけです。なかなか、ご家庭で使いこなすのは難しいでしょう。
ただ、最近ではラテアート用に開発された国産カップも出始めてきました。
たとえば、国内コーヒー器具インポーターであるFBCインターナショナルが2017年に開発した「FBCオリジナル7ozラテボウル」。
こちらはラテアート用に開発されたカップで、
表面が広く、いろいろなアートを描きやすい
底面に凹凸がついており、注いだミルクがクレマを壊しにくい
カップにフチがついており、ギリギリまでミルクを注いでもこぼれにくい
など、いろいろな面でラテアートに適した作りになっているカップです。
実際に使ってみると分かりますが、ミルクのフォーム(泡)をかなり緩く作ってみても、表面のクレマが崩れず、アートがきれいに描きやすいカップになっています。

なにより、Vertexのカップと違う点は「カップの容量」。7oz(約210cc)サイズなので、12ozのミルクピッチャーでも使用でき、家庭用のエスプレッソマシンでも十分にスチーミングが可能です。
最初に紹介した通り、「ラテアートが絶対に作れないカップ」はほぼありませんが、初めてラテアートの世界に触れてみるのであれば、こうした「ラテアートに向いているカップ」を使ってみると、上達も早いでしょう。
あとは、ワールドラテアートチャンピオンシップなどでも使われている、同じく7ozサイズのLOVERAMICS社のカフェラテカップや、最近、国内で有名になってきているORIGAMIのラテボウル(6oz)などもおすすめ。
ただし、家庭用エスプレッソマシンを使っている場合、6~7oz(約180l~210ml)までなら、家庭用エスプレッソマシンのスチームパワーでもミルクが泡立てられますが、カフェで使うような8~10ozのサイズになると、うまく泡立てしきれずラテアートが描けない…なんてこともあるのでご注意を。
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