皆さんは「コーヒーを飲むと健康に問題が出る」と聞いたことはありませんか?1993年のコーヒー協会の調査によると、25%以上の人が「コーヒーは胃に悪い」と考える傾向がありました。他にも、コーヒーには様々な健康被害があると考える人がいたようです。
この原因は1970~80年代に、メディアが不完全な研究結果をもとにコーヒーの悪影響について何度も取り上げたためだと考えられています。ですが、こうしたコーヒーの悪影響について、現在では否定されているものもたくさんあります。
そこで今回は、コーヒーの健康被害に関するウソについて実際の研究をもとにご紹介したいと思います。
コーヒーは胃に悪いって本当?
「コーヒーを飲むと胃がもたれる感じがする。コーヒーは胃に悪いのではないか?」と言う方がいらっしゃいます。ですが、イギリスのコーヒー科学情報センターは、コーヒーを飲むことによって胃潰瘍は発生しないと結論づけています。
また、胸焼けについてもコーヒーとの関連性は科学的には見つかっていません。ですが、こうした研究はほとんどメディアに取り上げられなかったため、あまり一般には知られていないようです。
コーヒーを飲むとガンになる?
1970年代には、コーヒーを飲むと膀胱ガンやすい臓ガンになるという研究が報告されました。これがメディアに大々的に取り上げられたため、コーヒーを飲むとガンになると思っている方もいらっしゃるようです。
ひょっとすると、コーヒー豆を焼く過程が「動物性タンパク質が焦げると(少量の)発ガン性物質を作り出す」という話とごっちゃになっているのかもしれません。
ですが、その後の研究でコーヒーとガンの関係は無いどころか、90年代には、むしろコーヒーを飲むことで結腸ガンや直腸ガンなどのガンを予防することができるという結果が発表されるようになったのです。
現在では、愛知県がんセンターなど、むしろガンの予防にコーヒーを飲むように勧めている研究施設も数多くあります。
2015年、最新の国立ガン研究センターの発表によると、1日1,2杯のコーヒーを飲む人は、全くコーヒーを飲まない人よりも病気などで死亡する危険性が0.85倍で、3,4杯のコーヒーを飲む人は0.76倍とさらに低くなったそうです。昔の常識とは違い、コーヒーは健康のためにも積極的に飲んだ方が良いドリンクだと言えそうです。
妊娠している女性はコーヒーを飲んではダメ?
妊娠している女性がコーヒーを飲むと、胎児の発育に悪影響があるというのは、ある意味“定説”でもあります。ですが、世界保健機構(WHO)によると、「妊娠女性のコーヒー飲用と胎児の発育との間の相関関係を示す証拠は全くない」と発表されています。
確かに、カフェイン自体には適正な摂取量というものがありますが、母親がコーヒーを飲むことによって胎児の成長が妨げられるという可能性は低いようです。
コーヒーを飲むと血圧が上がる?
コーヒーを飲むと血圧が上がると思われている方がいらっしゃるようです。ですが、アメリカのフラミンガム心臓研究所の調査によると、「コーヒー飲用が血圧に影響を与えることはない」と発表されています。
ですが、この研究は一般に報道されることがほとんどなかったため、血圧とコーヒー飲用の間に関連性が見られないということはあまり知られていません。
まとめ
コーヒーはカフェインを含んでいます。そのため、過剰なレベルでコーヒーを摂取すると確かに健康上の問題を引き起こす可能性があります。実際、純粋なカフェイン(コーヒーではなく)を過剰に摂取し、しかも興奮剤やピルなどと併用したために死亡者が出た例はあるようです。
ですが、そうした極端な例があるためか、いつまで経ってもコーヒーに対する“誤解”は消えません。一日に6,7杯以上のコーヒーを飲むようなヘビードリンカーであれば、確かに健康被害も現れるかもしれませんが、少なくとも一日3,4杯の適量を飲む限りにおいて、上にあげたような問題が起こる可能性は現在否定されているものも少なくありません。
もちろん、コーヒーの持つ効果(覚醒作用、集中力増進など)はカフェインだけによるものではなく、その香りの効果などもありますので、どうしてもカフェインを避けたいといった方はデカフェのコーヒー豆などに頼るのも一つの手です。
コーヒーの健康問題に関する悪いイメージはいまだ残り続けていますが、その影響について正しく理解し、楽しく飲めるようになりたいですね。
※今回ご紹介した記事や研究事例は、「コーヒー鑑定士」資格の教本をベースに作成しています。