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「コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか」 ~コーヒーハンターの書籍レビュー~

最近は、コンビニコーヒーの市場がグングンと伸びています。

 

その勢いは缶コーヒーに迫るとまでされていますが、コンビニコーヒーのどこにそんな魅力があるのでしょうか。あるいは、コンビニコーヒーに比べて他のコーヒーに魅力がないのでしょうか。

 

この点について、有名なコーヒーハンターの川島良彰が『コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか』という書籍で紹介されています。

 

コンビニコーヒーはなぜ美味いと言われるのか?

正直なところを言えば、私自身はコンビニコーヒーを美味いと思ったことは一度もありませんが、「下手な喫茶店やホテルでコーヒーを飲むよりはマシ」という意味なら、ある意味間違いではないかと思います。

 

著者も、コンビニコーヒーはなぜこんなに人気になったのか、その原材料やコーヒーメーカーの性能に言及しながらも「コンビニのコーヒーはものすごくおいしいコーヒーではありません。値段相応のおいしさです」としています。

 

ただ、コンビニコーヒーは100円で飲むことができます。

 

そして、同レベル(もしくはそれ以下)の豆や抽出器具で4,500円で提供しているカフェや1000円で提供しているホテルに比べれば、それは確かに「安くて美味しい」ことでしょう。

 

その意味で、コンビニコーヒーは美味しいと言えるのかもしれません。こうしたコンビニコーヒーと比べて、高級ホテルのコーヒーの現状がどんな状況かを著者は訴えています。

 

高級ホテルで美味しいコーヒーを飲むのは難しい?

「高級ホテルだから素材にはこだわっているのだろう」と思われるかもしれません。ホテルで出されるコーヒー一杯の価格は1000円前後する場合も少なくありませんし、そこで出てくる料理は一流のものばかりだからです。

 

ですが、実際にホテルでコーヒーを飲んだことのある方なら分かると思いますが、たいていの場合、高級ホテルでコーヒーを飲むよりカフェや喫茶店でコーヒーを飲んだほうが美味しいコーヒーを飲める場合が多いです(※もちろんホテルによって大きな差はあります)。

 

この理由に関して、本書の中ではいくつかの理由が挙げられています。

 

1. 経営者がコーヒーでお金が取れると思っていない

2. コーヒーに対するソムリエやシェフの関心が薄い

3. 大手コーヒー会社が利益を確保するために質の悪い豆を納品する

4. 現場のスタッフが器具のメンテナンス方法を知らない

etc……

 

こうしたホテルの現状に比べれば、全自動で抽出されているコンビニのほうがまだ確かに美味しいと言えるのかもしれません。

 

コンビニコーヒーがある中でのカフェや喫茶店への問題提起

そして、この本の中で特に重要な問題提起がなされていると思います。それが以下のフレーズです。

 

コンビニのコーヒーを"ものさし"として身に着けた消費者が、専門店で5倍の価値を見出せるかということです。こうした状況で、何に価値を与えられえるかが問われているような気がします。

たとえば、オフィスへのポットサービスも、コンビニと比較して値段を見直す必要に迫られる可能性もあります。

 

「カフェや喫茶店はコンビニコーヒーの5倍美味しいのか?」もしくは「多くの消費者はコンビニコーヒーよりもカフェのコーヒーは5倍美味しいと感じてくれるか?」そう言われて必ずしもYESと答えられるコーヒー関係者は多くないでしょう。

 

そうしたとき、カフェや喫茶店はお客様に何を提供できるのでしょうか。そして、お店側は何をしなければいけないのでしょうか。

 

コンビニコーヒーを起点として、コーヒー業界、あるいはそれに関連する業界はどう変わっていくべきかという問題提起をした書籍という意味で、この本はとても面白いと思います。

 

総評として

この本はコーヒー関係の方が読んだら、まず確実に物議をかもすと思います。それが事実にせよそうでないにせよ、現在のコーヒーにかかわる業者を批判する文章がかなり多くあるからです。

 

それらの是非はとりあえず置いておくとして、確かに本文中にあるような「コーヒーにお金を払うなんて馬鹿らしい」といった経営者側の現状は少なくとも事実としてあるでしょう。

 

コンビニや高級ホテル以外のコーヒー関係者を批判し過ぎだとか、自分の活動の宣伝をし過ぎといった部分では、タイトルと逸れていてあまり好ましいとは思えません。

 

また、「日本のサードウェーブ」とか、コンビニコーヒーが「フォースウェーブ」だとか、独自の見解と定義づけ、解釈がかなり多いので、この本でコーヒーを学ぶというのには向いていないかもしれません。

 

ただ、やはりコーヒー業界の負の部分を取り上げ、改善すべきだとしている点は興味深いと思いますし、あくまで、「こういう現状があるんだなあ」ぐらいの軽い読みものとして読むのには、いろいろな現状が分かって面白いのではないでしょうか。