カフェは昔から「クレジットカードの導入が遅い」「はやくクレジットカードを導入してほしい」と言われ続けてきました。
実際のところ、カフェや喫茶店でクレジットカードを導入している店舗はまだまだ少なく、大手チェーン店でもほんの一部で使える程度で、ほとんどの大手カフェ・喫茶店ではまだ使うことができません。
では、カフェにはどうしてクレジットカードを導入するお店が少ないのでしょうか。そして、クレジットカードの支払いを導入することでどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
カフェの売り上げは低単価
カフェや喫茶店でクレジットカードの導入率が低い一番の理由は、お客様1人当たりの売り上げ(客単価)が低いことです。
カフェの客単価は、コーヒー1杯で400円から、ランチをつけてもせいぜい1,200円以下です。それに対して、クレジットカードは月額固定費が数万円に、手数料が3.24%~と、正直、手数料だけでも利益を圧迫します。
また、日本ではクレジットカードの利用率が12%だと言われていますが、当然、高齢者になればなるほど普及率は低くなります。カフェというよりは喫茶店の場合、主要客層が高齢であることもクレジットカードの導入率が低くなっている原因でしょう。
では、「カフェや喫茶店にクレジットカードは必要ない」と言えるでしょうか。
クレジットカード決済を導入するメリットとデメリット
そこで、クレジットカードを導入するメリットをあげてみます。
メリット
・売り上げが上がりやすい
・レジで管理するお金が減り、小銭の準備が減る
・売上の管理がしやすい
・大手コーヒーチェーン店との差別化ができる
・カフェの中ではスタイリッシュなイメージが与えられるかも
クレジットカードをカフェや喫茶店に導入することが、なぜスタイリッシュなイメージにつながるのかはまた後でご紹介しますが、特に「売上が上がりやすい」「売上の管理がしやすい」といった点についてデメリットと比較しながらご紹介していきましょう。
クレジットカードで売り上げが増える店・減る店
まず、クレジットカードを使えると確実に売り上げが上がりやすくなります。特に、カフェだけでなく、コーヒー豆の販売や雑貨販売、アルコールも提供しているお店では間違いなく上がりやすいでしょう。
ただし、条件付きで、「『コーヒー1杯あたりが安い(300円)など低単価のカフェ』や『客数の回転率を高く見込んでいるカフェ』」はメリットが少ないどころかデメリットが目立つかもしれません。
当然ですが、単価が低いとクレジットカードを利用する人は減ります。また、クレジットカード決済は現金決済に比べて支払いが遅くなる(レジに30秒は固定される)ので、回転率を高く見込んでいるお店ではむしろデメリットが目立ちます。
大手のカフェチェーン店でクレジットカードの導入が遅れているのは、そうした回転率の高さと、カード決済のメリットを比較してのことでしょう。
ただし、個人店でそこまでの回転率を期待するのはほとんどの場合、ナンセンスです。
むしろ、たいていの場合はどうやってお客さんをまず集客するかを考えるべきで、そのための手段として「クレジットカード決済ができます」というのは確実に一つの宣伝になるでしょう。
食べログやぐるなびなどのレビューサイトでも、クレジットカードが使えるかどうかは検索項目のひとつになっています。
小銭の管理が減り、売上も管理しやすい
また、カフェや喫茶店が低単価のサービスだからこそ起こりやすいのが、「小銭の管理が大変」「売上管理が大変」といった問題です。
特に、カフェのお釣りに使う小銭の管理は、バーや居酒屋以上に大変。どんなに売れないカフェでも日に最低で3万円分ぐらいのお釣りは小銭で確保しておかなければいけないため、両替の手数料、その手間もバカになりません。
「ただいま小銭が不足しております。ご協力ください」なんて張り紙をしてある個人店のカフェを1度は見たことがあると思います。そういった点で、クレジットカードを導入するメリットは大きいでしょう。
ただし、小銭の管理は"多少マシになる"程度であって劇的な変化は見込めないでしょう。国内のクレジットカードの利用率が低いことは変わりませんからね。小銭の準備が不要になる程度ではありません。ですが、確実に多少は管理がしやすくなると思います。
カード決済導入のローコスト化
ただ、こうしたメリットが(特に個人店に)あるにもかかわらず、カフェや喫茶店ではクレジットカードが導入されてきませんでした。
なぜなら、これまではクレジットカード決済サービスを導入するのに、初期費用で〇〇万円、固定費月額で〇〇万円といった費用を支払う必要があったからです。
低単価のカフェや喫茶店で一番苦しかったのはこのポイントでしょう。
ですが、こうした状況を変えたのがアメリカからやってきたSquare(スクエア)という電子決済サービスのシステム。
みなさんも、iPadをレジ代わりに使って、クレジットカード決済をしているカフェやレストランを見かけたことがあるのではないでしょうか。こうしたiPadやスマートフォンを使ったクレジットカード払いを可能にしたのがスクエアです。
スクエアは最近、飲食店を中心にじわじわと広がりを見せており、特にカフェ業界で少しずつ見かけることが増えてきたように思います。このスクエアですが、実はカフェ業界と深い関係にあるのです。
アメリカ生まれのsquareとサードウェーブコーヒー
今では少し落ち着きましたが、少し前までblue bottle coffee(ブルーボトルコーヒー)というカフェが日本に来て騒がれていました。雑誌などでも「コーヒー界のアップル」と何度も取り上げられたので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
それとともに、「サードウェーブ」という言葉が広まってきましたが、これについてジョージアが簡単に説明しています。
今注目の第3の波「サードウェーブ」。
新しいビジネスとカルチャーがひとつになって確立している時代。
コーヒーの生産地への配慮や価値などが注目されるようになり、コーヒーがカップに運ばれるまでのトレーサビリティ、豆の素材や淹れ方など、各々の工程にこだわるスペシャルティコーヒーが注目されています。そして世界中でハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れるスタイルがトレンドに。
さて、このサードウェーブ。もともとはアメリカから広まってきた流れなのですが、このサードウェーブの発展と関わりがあったとされているのが、スクエアなのです。
日本とは違い、アメリカでは基本的にクレジットカードで支払いをするスタイルが1つの文化として浸透しています。
そんなアメリカで生まれたのが、iPadをレジとして使うスクエアのカード決済システムです。初期費用無料・月額固定費無料・決済手数料だけでクレジットカード決済サービスが店舗に導入できるうえiPadをレジにするというスタイリッシュさはカフェにとって画期的でした。
一方で、スクエアにとってもそれは一緒。
スクエアの開発過程にはこうしたサードウェーブ系のカフェが大きくかかわっており、アプリの実地テストなどをサイトグラスなどのカフェで行ったことが知られています。詳しいことは下記の『サードウェーブ・コーヒー読本』で紹介されているので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
カフェで広まるクレジットカードとiPadレジ
このように、カフェとスクエアの発展にはそれぞれ大きな関わりがあることが知られています。
最近でも、サードウェーブ系の代表格であるblue bottle coffeeがスクエアのシステムを使ったギフトカードを作成していましたが、ブルーボトルにとってスクエアは欠かせないシステムになってきたと言えるのかもしれません。
出典: http://www.square-blog.jp/bluebottle-giftcards
逆に、square側でもカフェやレストランなどの決済システムとしてスクエアを導入するよう強くすすめていっているようです。
今後もsquareとカフェの関係は強まっていくでしょう。カフェのクレジットカード決済導入にはいろいろなメリット・デメリットがありますが、一番のメリットはこうした先進的なイメージをお客様に与えられることかもしれませんね。
まとめ
最近では、blue bottle以外のカフェや喫茶店でもiPadレジを見かけることが多くなり、クレジットカードを使用できるスタイルになってきたカフェが増えてきました。
よく、「カフェや喫茶店もクレジットカードを使えるようにしてほしい!」といったコメントをインターネット上でもよく見かけましたが、こうした現状も少しずつ変わりつつあると言えます。
今後、全ての店舗がクレジットカード決済できるようになるとは思いませんが、Squareに代表されるクレジットカード決済システムが増えたことによって、クレジットカードを使える店舗は少しずつ増えていくことと思います。
まだクレジットカード決済がカフェにとって急ぐべきものではないことは間違いありませんが、だからこそサードウェーブ全盛の今のうちに導入することが「スタイリッシュ」であったり「先進的」なイメージを与えることもあるかもしれません。
Square以外のスマホ・タブレットのクレジットカード決済について知りたい方にはこちらの記事もおすすめです。