業務用、プロ用のエスプレッソマシンを制作・販売している代表的な会社の1つであるNUOVA SIMONELLI(ヌォーヴァシモネリ)社。
世界大会の指定マシンにもなっているエスプレッソマシンを開発する会社で、コーヒー業界の人のみならず、コーヒーに感心のある一般人の間でも名前が知られている有名企業です。
さて、そんなシモネリですが、インターネット上を見てみると、興味深い評判が出てきます。これに関して本当かどうか、信用していいものかどうかを見ていきたいと思います。
シモネリのエスプレッソマシンはおすすめしない?
その興味深いレビューとは以下のもの。Yahoo知恵袋で「業務用のエスプレッソマシンの購入を考えているのですが、使ってみた感想や使ってみた感想やおすすめがあったらおしえてください」という質問への回答になります。
さて、はっきり言います。日本でシモネリはお勧めしません。悪い事は言いません、止めた方が良いです。
なぜ日本のカフェでシモネリをあまり見ないのか。WBCの競技指定マシンにも関わらず。マルゾッコやチンバリの設置店が多いのは、それなりの理由が有ります。
WBC指定マシンなら、チンバリもシモネリの前にWBCの指定マシンで、イタリアエスプレッソマシン市場のトップ企業です。しかもマルゾッコは2ボイラー式で、給湯とスチームのボイラーが独立しています。その為スチームのパワーが強力です。
取り扱い企業のメンテナンス体制も、対応が迅速です。シモネリは国内輸入代理店のメンテナンスに関し、よく不評を聞き、且つ特にフルオートの故障の多さは有名(まあイタリア製は何処も似た様なモンですが・・・)。
業務用のエスプレッソマシンの購入を考えているのですが、使ってみた感想や使ってみた感想やおすすめがあったらおしえてください。
このように、シモネリ社のエスプレッソマシンの評判は散々です。さて、上記のレビューは本当なのでしょうか。これに対して、カフェのオーナーであり、シモネリ社のエスプレッソマシン以外にも様々なメーカーのエスプレッソマシンを使ってきたプロにコメントを求めました。
シモネリ社に対するカフェオーナーのコメント
なぜ日本のカフェでシモネリをあまり見ないのか。WBCの競技指定マシンにも関わらず。マルゾッコやチンバリの設置店が多いのは、それなりの理由が有ります。
WBCの公式マシンが良いとは言いませんが、「常に安定した、そしてバリスタの意図した味を出せるかどうか」が審査され、WBCの公式マシンは決定されています。その中で、シモネリは一番長くWBCの公式マシンを担っています。この点は信用していい基準でしょう。
抽出への信頼性があれば、マシンの選択は正直、デザインや使い易さ、味の出方など好みによると思います。チンバリは確かにイタリアのシェアはすごく高いですが、少しその他の国に目を向ければ、「マルゾッコ」や「シネッソ」そして「シモネリ」をよく目にします。
エスプレッソは元々はイタリアのものでしたが、今はその文化は世界中へと広がり、また違う文化を作り出しています。その中で、イタリアの人々の選択と世界の人々の選択が違うというのは至極当然のことと言えるでしょう。
日本でも、イタリアの要素を取り入れたい人は「チンバリ」を、現在のコーヒーカルチャーを取り入れたい人はそれの以外のマシンを選択する傾向にあるように思えます。
ここはあくまで良し悪しではなく、好みであったりその人の選択であったりするのではないかと思います。日本では、元来、「チンバリ」、その後「マルゾッコ」がシェアを持っていましたが、「シモネリ」、「シネッソ」といったマシンが日本にも入ってきて、シェアを伸ばしてきました。
「シモネリ(や関連企業であるヴィクトリア)」に関して言えば、ある大手チェーン店が「チンバリ」から「シモネリ(ヴィクトリア)」へとマシンを変更していっているということもありますので、これからどんどん目にする機会も増えてくるのではないでしょうか。
シモネリのマシンを見かけない”それなりの理由”とやらは分かりませんが、現状ではシモネリのマシンを見かける機会は増えているように思われます。
シモネリのメンテナンスについてはどうか?
取り扱い企業のメンテナンス体制も、対応が迅速です。シモネリは国内輸入代理店のメンテナンスに関し、よく不評を聞き、且つ特にフルオートの故障の多さは有名(まあイタリア製は何処も似た様なモンですが・・・)。
メンテナンスに関しても、都市部に関してはどこのメーカーや代理店も迅速な対応をしてくれると思われます。シモネリに関しても電話のサポートサービス、そして各地域に修理サービススタッフが用意されています。
ただ、地方によっては到着までに時間がかかる、修理が立て込んでいるときは直ぐには派遣することができないなどの状況はありえるでしょう。
それは多かれ少なかれどこのメーカーにも、エスプレッソマシンに限らずどんな電化製品にも言えることではないでしょうか。加えて、エスプレッソマシンは輸入品なのでどうしても商品や部品の安定性に欠け、対応が遅れることはありえるでしょう。
※輸入に相当な経費がかかるので、ある程度まとめて発注するなど、在庫が品薄な時がある、何かの都合で税関でとまってしまうなど予期せぬ事態は起こり得ます
「マルゾッコ」に関してもそういった都合で、お店のオープンにマシンが間に合わなかったという話も聞かれます。特定のメーカーのサポートが悪いというよりは、個別の状況がたまたま悪かったという話ではないでしょうか。
エスプレッソマシンのスチームとパワーについて
WBC指定マシンなら、チンバリもシモネリの前にWBCの指定マシンで、イタリアエスプレッソマシン市場のトップ企業です。しかもマルゾッコは2ボイラー式で、給湯とスチームのボイラーが独立しています。その為スチームのパワーが強力です。
スチームパワーに関してもダブルボイラーの「マルゾッコ」とシングルボイラーの「チンバリ」、「シモネリ」を比べて、パワーの違いを感じたことはありません。
もちろんダブルボイラーのほうが抽出用とスチーム用が分かれているのでパワーが落ちる可能性は低いように思われますが、連続して使えば使うほどパワーは落ちていきます。結局はボイラーの大きさが重要です。
ボイラーが大きければたくさん使えますし、少しくらい真水が注水されたところで影響ありません。ダブルボイラーは抽出とスチームを分けているため、それぞれ続けて行ったときの影響が少なくてすみますが、シングルボイラーと同じ大きさのマシンだった場合、それぞれのボイラーのサイズはシングルボイラーより小さくなってしまいます。
加えて、エスプレッソマシンも常に温度や圧力を一定に安定させられるように改良されてきています。シモネリの「T3」というテクノロジーはその部分をかなり厳密に行えるようになっています。
ひとつ注意が必要なのは、比較的小型のマシンの場合です。大型マシンに比べ必然的にボイラーサイズが小さくなってしまいますので、どうしてもパワーや安定性に不安が出てきます。そのなかでは「シモネリ アッピアⅡ」はボイラーも大きく大型マシンとそれほど遜色ないマシンと言える使用感です。
とても強いスチームですごく綺麗なスチームミルクを作ることができます。ただどの電化製品に関しても言えることだと思いますが、100Vのマシンの場合、電圧の安定性が低いため、その影響は受けてしまうことはどうしても避けられませんのでご注意を。
最終的なレビューについて
このように、Yahoo知恵袋のシモネリの評判に対して、カフェのオーナーからコメントをいただいたところ、「シモネリをおすすめしない理由が書いていない」ことが気になるとのことでした。
今回は、もともとのレビューがシモネリに対する批判だったため、どうしてもシモネリ側に寄ったコメントになってしまいましたが、これは他のメーカーよりもシモネリが優れていると言いたいわけではありませんので、ご注意を。
ポイントは、こういったネットのコメントよりも、「きちんとプロの話を聞いてマシンの選択はしたほうがよい」ということです。業務用マシンは安い買いものではありません。根拠のない情報よりも、きちんとしたプロのコメントを参考にしながら、業務用マシンを選ぶことが重要だと言えるでしょう。