JR東海には「北陸観光フリーきっぷ」という観光きっぷがあります。
その名の通り、富山、石川、福井を観光するためのきっぷ。
名古屋(もしくは浜松・静岡)から下記の区間までの往復きっぷと指定席特急券、そして、下記の区間の新幹線・特急・在来線の乗車が4日間も無料になる大変お得なきっぷです。
出典:https://railway.jr-central.co.jp/tickets/hokuriku-free2/index.html
ただ、めちゃくちゃ良いきっぷなのですが、実際に使うと不便な点や注意点がありました。
今回は実際にこの北陸観光フリーきっぷを使ってみた感想をレビューしていきます!
北陸観光フリーきっぷの使い方は?当日券は買える?
まず、北陸観光フリーきっぷの使い方をご紹介します。
基本的な使い方は簡単。JRの改札に普通のきっぷと同じように、フリーきっぷを通すだけです。
新幹線の改札でも、普通のJR改札でも、どちらでもフリーきっぷ1枚で通ることができます。
ただし、きっぷを購入するときに出発地点ー富山(特急ひだ)、もしくは出発地点ー福井・金沢(特急しらさぎ)までの指定席を購入する必要があります。
指定席の指定はきっぷを購入したときの窓口で行います。ですので、きっぷを買うときは窓口で買うようにしましょう。
北陸から帰りのきっぷの指定席はいつ買えばいい?
帰りのきっぷの指定席は帰る際でも構いませんし、行きのきっぷを買った時でも構いません。
フリー区間内の窓口ならどこでも指定席を指定できます。
予定が決まっている方なら、最初に指定しておいたほうが「指定席がなくて帰れない」なんてことがないので、おすすめです。
※実際、わたしは帰りの特急の指定席がとれずに立って帰ることになりました…
北陸観光フリーきっぷは当日購入でも使える?
北陸観光フリーきっぷは当日購入でも使うことができます。
※もちろん事前に買ってもOK!
ただし、下記の期間は北陸観光フリーきっぷがそもそも使えないのでご注意を。
4月27日~5月6日
8月10日~8月19日
12月28日~翌年1月6日
北陸観光フリーきっぷを使うときの注意点!
このきっぷの利用には、一番大事な制限があります。
それは「富山から先に行くか、福井・石川から先に行くか」です。
このきっぷには重要なルールがあり、
「富山だけ観光したいから、行きも帰りも富山の特急ひだだけでいいや」とか
「石川・福井だけで満足したし、帰りも石川方面の特急しらさぎだけでいいや」
といった使い方ができません。
JRの公式サイトには下のように書いてあります。
ア 往路で、特急「ひだ」号をご利用する場合は「ひだ&しらさぎコース」を発売し、復路は特急「しらさぎ」号をご利用すること。
イ 往路で、特急「しらさぎ」号をご利用する場合は「しらさぎ&ひだコース」を発売し、復路は特急「ひだ」号をご利用すること。
富山方面から観光するか、福井方面から観光するか?
つまり、「富山方面(ひだ号)から先に行ってもいいし、福井・石川方面(しらさぎ号)を先に行ってもいいけど、帰りは逆方面から帰ってきてね!」ということです。
これが意外とネック!
もちろん、観光したい順番から行けばいいのは間違いありません。
ただ、もし「どっちからでもいいや」というのであれば、私は絶対に富山方面(ひだ号)から行くことをおすすめします。私はこの逆から行って、大変後悔しました…。
なぜ、北陸観光は富山方面から先がおすすめか?
なぜ、富山方面から行くことがおすすめか。理由は主に2つあります。
1つは、石川や福井から名古屋に帰ってくるしらさぎは6両編成(休日は9両編成)なのに対して、富山から名古屋に帰ってくるひだ号は途中の高山駅までたったの3両しかないからです。
そう、つまり富山から名古屋へ向かうひだ号は座席が少なくて座れないのです。
これがかなりの地獄。
コロナがあけて、外国人観光客が増えている今、高山は大変人気の観光地になっています。
そのため、すし詰めの車両で富山から高山までの約1時間半を立って移動することになります。景色も楽しめたものではありません。平日ですら満席の状態です。
↑実際の車内の状況
逆に、名古屋から富山に行くときは、高山まで6・7両編成なうえ、対抗手段として高速バスまであるため比較的すいています。
少なくとも平日から「人が多すぎて座れない」という事態にはなりません。
「じゃあ、富山から名古屋に帰るときも指定席をとればいい」と思われるかもしれませんが、少なくとも私は乗車当日の朝に窓口に行った時点で、すでに指定席は満席でした。つまり、出発時点で入念な準備が必要になります。
フリーきっぷはきっぷ一枚でどこでも行ける身軽さが一番の魅力だと思うので、もし同じような考え方の方は富山スタートのほうをおすすめします。
ちなみに、もう1つの理由は特急ひだが悪天候に弱いからです。山のなかを通るため、大雨が降ると帰れない…なんてことも十分ありえます。
行きの時点なら最悪行きのルートを逆に変更するだけで済むので、悪天候に弱い特急ひだルートが先のほうがおすすめです。
フリーきっぷの魅力は特急や新幹線に乗り放題なこと
さて、せっかくの北陸観光フリーきっぷ。このきっぷを買ったなら、数日をかけて北陸のいろいろなところに回りましょう。
たとえば、富山に来たら富山市内だけでなく、氷見まで行く。あるいは金沢まで行ったら七尾や和倉温泉を楽しむなどです。
なぜかというと、北陸観光フリーきっぷは名古屋からだと16,230円ですが、単純に名古屋ー富山-金沢ー名古屋のきっぷを全席指定で買っても差額は2,000円程度しかありません。
もちろん、2,000円もお得になる時点で十分じゃないか!というご意見もあるでしょう。
ただ、名古屋―富山間などは正直、ひだ号が7,790円で4時間もかかるのに対し、高速バスであれば4,800円で3時間半でつきます。そう、高速バスのほうが早くて安いのです!
つまり、ただ富山市内と金沢市内に行きたいだけであれば、名古屋―富山間だけ高速バスで買って、ほかは普通に電車で帰るほうがフリーきっぷを買うよりお得で早いと言えます。
※しかも、バスは本数も多いため、先ほどのひだ号の指定席がとれないといった事態もありません
フリーきっぷを使うのであれば、せっかくなら北陸を遊び倒してやろう!ぐらいのつもりで観光プランを組むことをおすすめします。でないと、もったいないです!
北陸観光フリーきっぷのおすすめの観光ルートは?
では、せっかくなので、北陸観光フリーきっぷで行けるおすすめスポットや路線を上げていきます。
富山県内の北陸観光フリーきっぷで行けるおすすめスポット
富山はまず3つあります。
- 富山市内でグルメと日本酒の旅
- 黒部宇奈月温泉の温泉街
- JR氷見線の絶景と氷見ブリ
まず、黒部宇奈月温泉に関しては、温泉街と美味しい食事。
氷見線では日本トップクラスと言われる車窓と、氷見駅で食べられる氷見ブリや氷見うどんなどの食事がおすすめ。
お酒が好きな方なら、富山市内で日本酒酒蔵巡り&グルメ旅に出るのもおすすめです!
富山は小規模な蔵が多く、他県には出回らないお酒も多いため、日本酒好きには絶好のスポットです!
石川県内の北陸観光フリーきっぷで行けるおすすめスポット
また、石川に入ったら能登半島のほうへ向かう和島線に特急で向かうのがおすすめ。
まず、和倉線の七尾駅では能登食祭市場もあり、新鮮な魚介などを楽しむことができます。
そして、終点の和倉温泉では宿泊地もたくさんあります。
もちろん、金沢市内に戻って兼六園や近江町市場、21世紀美術館にひがし茶屋街を回るのもおすすめ。
名物の魚介や加賀野菜、金沢おでんなどを楽しみたいところですね!
福井県内の北陸観光フリーきっぷで行けるおすすめスポット
福井は東尋坊や永平寺といった有名観光地があるものの、どれもJR福井駅から遠いのがネック。
「フリーきっぷがあるから、わざわざ行きたい!」という観光地が少なめです。
ただ、福井市以外にも立ち寄りたいスポットがあり、あわら温泉などがあります。宿泊の予定が空いていたり、和倉温泉に行くのは難しいけど、ゆっくり温泉につかりたい方におすすめです。
また、越前がになどの季節になったら、敦賀によって日本海さかな街などに寄ってもよいでしょう。
敦賀駅から観光バスなども出ているため、旅の最後のシメに魚介を食べたいときなどに最適です。
2泊3日で北陸観光フリーきっぷのおすすめのモデルコースは?
ここまで北陸3県のおすすめ観光地をご紹介してきました。
せっかくなので、個人的に北陸旅が初めての方向けのモデルコースを提案していきます。
ご自身のお好みに合わせてアレンジしてみてくださいね!
1日目 名古屋から富山へ特急ひだで移動
名古屋ー富山市内 8:43ー12:32着
富山駅近くの寿司屋や海鮮屋でランチを済ませる。お酒好きな方はそのまま駅前の「バール・デ・美富味」へ。
富山市内ー氷見 13:14ー14:16着
氷見駅まで新幹線とJR線を乗り継ぐ。氷見駅に着いたら氷見番屋街を目指す。番屋街で余裕があれば海鮮を楽しみながらお土産などのショッピング。
※旅館や温泉につかりたい方はここで宿泊してもOK!
氷見ー富山市内 17:13ー18:34着
JR氷見線の絶景と言われる夕焼けを見ながら富山市内へ。富山市内でホテルにチェックインし、1日目終了。
2日目 富山から金沢へ新幹線で移動
富山ー金沢 9:09ー9:32着
新幹線で移動し、兼六園やひがし茶屋街、近江市場、21世紀美術館を観光。
金沢の観光地は初めてなら、これだけで1日過ごせるというか時間が足りないぐらいなので、2日目は金沢で終了。
3日目 金沢から名古屋へ新幹線+特急で移動
金沢ー福井の永平寺 9:02ー10:38
福井駅から永平寺までの往復バス代(1,500円)がかかってしまいますが、初めての北陸旅ならぜひおすすめなのが永平寺。
永平寺観光をしたあとに、永平寺で越前そばをランチで食べたら完璧です!
永平寺ー名古屋駅 12:22ー15:25着
最後は福井駅で鯖寿司など名物とお土産を買って帰りましょう。もう少し時間に余裕のある方は、敦賀駅でさかな市場などに寄っても面白いと思います。
お疲れさまでした!
北陸観光フリーきっぷの最終レビューキモ
さて、長くなりましたが、個人的に北陸観光フリーきっぷのキモは下記の通り。
- ひだ号としらさぎ号のどちらを先に乗るかが重要
- できるだけたくさんのスポットを訪ねる
この2点ができるかで、フリーきっぷの評価は大きく変わってきます。
少なくとも、私は2番の「できるだけたくさんのスポットを訪ねる」ができましたが、1番ができていなかったために、大変な思いをしました。
そして、もう同じルートは乗らないと思います。
富山は美味しい魚介と昆布
石川は美味しい魚介に加賀野菜
福井は美味しい魚介に蕎麦
…と、それぞれの魅力が北陸にはあります。ぜひ北陸観光フリーきっぷで楽しい旅を過ごしてください!
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