あなたはバリスタとはどんな職業?資格?だと思いますか?
バーテンダーはバーでアルコール全般を扱う人、ソムリエはレストランやバーでワインを扱う人など、なんとなくのイメージがあるものの、バリスタはどんな職業なのか?そしてバリスタになるにはどんな資格をとればいいのかが分からない人も多いでしょう。
そこで今回は、バリスタについて「どんな人のことを指すのか?」「どうすれば取得できるのか?」をお話していきます。
本来のバリスタとはどんな人?
『カフェオーナー・カフェスタッフ・バリスタになるには』という本の「バリスタとは?」のなかでこのように書かれています。
その名称の語源は、イタリア語です。バール(bar)などで、エスプレッソなどのコーヒーをサービスする人(~ista)を意味しています。イタリアのバールといえば、昼はコーヒー屋軽食を扱い、夜は酒類をも販売する二毛作型の業態を指しますが、、バールコーヒーを専門に扱う職業または人をバリスタ、バーで酒類を専門に扱う人をバーテンダーと呼んでいます。
つまり、バールで働くコーヒーメインで提供する人のことをバリスタとイタリアでは読んでいます。さて、こうやってみると日本で聞く、「バリスタ」のイメージとはだいぶ違うのではないでしょうか?
日本のカフェ・喫茶店ではそもそもアルコールを提供しているところ自体少ないですし、アルコールがあったとしても、昼と夜で営業を分けるような形態は、カフェバーと呼ばれたりします。
こういう意味で言うと、日本では本来のバリスタはあまりいないと言っていいでしょう。日本でバリスタと言うときは「コーヒーを淹れる人」の総称(特にエスプレッソマシンも使える人)として使うことが多く、必ずしもアルコールのことは知らなくても構いません。
本来の「バリスタ」と日本のバリスタを一緒にしてしまうと大変なので、ここからはあくまで「コーヒーを淹れる人」の総称としてバリスタという名前を使っていきます。
バリスタになるには?資格は?
さて、そのうえでバリスタになるにはどうすればいいかですが、そもそも「バリスタ」という公的資格は日本にはありません。看護師は公的資格なので、名乗るのに看護師資格が必要ですが、日本ではバリスタと名乗るのに資格は不要なのです。
名乗るだけなら今日からでも、私たちはバリスタになれます。
ちなみに、スターバックスでは、店頭に立っている人はすべてバリスタですが、あれも、スタバ独自の研修内容を修了したという意味であって、あくまでバリスタは自称です。
一応、日本バリスタ協会(JBA)が、JBAライセンスという「バリスタ」の民間資格を作っているものの、講座内容を見ると、ドリップコーヒーなどの内容が入っていないため、日本でいう意味でのバリスタとは異なります。
そのため、基本的には日本でバリスタになる方法は2つです。
- コーヒー専門店で働く
- ドリップもエスプレッソも教えてくれる講座に通う
「独学では無理か?」と言われるかもしれません。実際、ただコーヒーの知識と技術を身に着けるなら独学でも大丈夫でしょう。下手をすると、独学で勉強した人のほうがコーヒー専門店で働いているアルバイトよりも知識も技術もあることだってあります。
ただし、それは「人に提供するための技術」とはまた異なることだけは注意が必要です。こればかりは、専門店で働くにしろ、講座に通うにしろ、プロに教えてもらう必要があります。
では、「コーヒー専門店で働くこと」でバリスタになるのと「資格・講座に通うこと」でバリスタを目指すメリット・デメリットを比較しましょう。
コーヒー専門店で働くメリット・デメリット
まず、コーヒー専門店で働くメリットとデメリットを挙げます。
メリット
- お金をもらいながら技術・知識を学べる
- 業務用レベルのマシンを使って勉強できる
- オープン・クローズなど実務的なスキルが分かる
デメリット
- お店ごとのレベルの差が激しい
- 社会人など、時間がない人が勉強する手段には向かない
- そのお店の知識・技術に偏る
- 20代以外は採用されづらい
コーヒー専門店で働くときの最大のメリットは、お金をもらいながら技術・知識が身に着けられることでしょう。また、規模にもよりますが、総合的な飲食店のスキルが身に付きます。
ただ、デメリットも大きく、まずそもそもアルバイトや社員というスタイル自体が、時間のある人しかできません。そのうえ、お店ごとのレベルの差が激しいということもあります。
そして、世のコーヒー専門店を見てもらえれば分かりますが、そもそも20代以外がアルバイトや社員で雇われること自体まれな業界です。
人手不足の時代と言われますが、コーヒー業界はアルバイトに限って言えば、人手あまりになることも多い業界です。未経験の、若手じゃない方がいきなり働けるかと言われると、難しい場面も多いでしょう。
「どうしてもこの店で働いて、どうしてもここの技術を学びたい」というコーヒー屋があれば別ですが、そうでもない場合は、リスクもあることも知っておくべきです。
資格・講座に通うメリット・デメリット
一方で、資格や講座に通うメリット・デメリットはなんでしょうか?
メリット
- 短期で技術や知識を学べるため社会人向き
- 実務的な講座を行っているセミナーも多い
- 過去の受講者が開業した店を見れば、講座のレベルが分かる
- 何歳からでも始められる
デメリット
- 通信制などの講座は通う意味がない
※あくまでバリスタになるには、という意味で - 店舗に立っているわけではないので、経験が増えるわけではない
- 大なり小なり、お金がかかる
資格・講座の最大のメリットは「時間の自由がきいて」「何歳からでも始められる」ことです。しかも、講座内容や、過去の受講者のレビューなども公開されているため、その講座を受けることで本当にカフェ開業などができるのか、自分の目的に合っているのかが分かります。
カフェのアルバイトで30代・未経験がいきなり雇われることはあまりありませんが、資格・講座ならまず最低限の知識・技術を身につけることができます。
一方で、いくら資格が取れるとは言っても、バリスタになるのに通信性の講座では意味がありません。バリスタに絶対必要なのは自分で抽出できる技術です。選ぶなら、実際にコーヒーを淹れられる資格を選びましょう。
また、もちろんですが、講座の受講には大なり小なりお金がかかりますので、きちんと講座選びをすることは大事。
資格をとったからといって、店舗に立っているわけではないので経験は増えません。そうなると、資格や講座を修了したあとにアフターフォローなどをしてくれるのか、開業が目的だとしたら、開業まで手伝ってくれるのかなども選ぶポイントになります。
おすすめの講座は?
日本で一番有名なコーヒーセミナーと言えば、UCCのコーヒーアカデミーでしょう。プロフェッショナルコースを受講するにはベーシックコースと2段階のコースを受講する必要があります。
会場も神戸と東京の2か所で学べるため、地方でない限りは受講しやすい環境となっています。
あとは、地域ローカルのコーヒー屋などがやっているセミナーです。
東海で言うと、名古屋のseminar box noteという教室がバリスタ養成コースという、バリスタになるためのコースを行っています。
“「コーヒーのことを基礎から学びたい初学者」に向けて、カフェのカウンターに1人で立てるようになるまでの基礎的な技術と知識をお伝えしています。”と公式サイトにありますが、その意味ではバリスタになりたい方向けのコースと言えます。
過去の受講者やここから開業した人も数多くいます。
ただ、ここで紹介した講座にせよ、そうでない講座にせよ、受講の際はまずきちんと自分の目的・悩みを教室に相談しましょう。
バリスタになったとして、カフェ開業をしたいのか、その技術をもとに就職をしたいのか、あるいはただの趣味でいいのかをきちんと話す必要があります。
バリスタになるのはゴールではありません。あくまで手段です。その先のゴールを見据えて、自分に合った手段を選びましょう。
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