ご自宅でコーヒーを淹れるとき、みなさんは1杯あたり、どれぐらいのコーヒー粉を使うでしょうか?10g?15g?
一方で、お湯はどのぐらいの量をかけるでしょうか?
コーヒー粉やお湯の量なんて考えたこともなかった!なんて方もいらっしゃるかもしれません。
今回は、元コーヒー企業オーナーが、プロのコーヒー屋のレシピなどを参考に、コーヒー1杯におすすめのコーヒー粉量のお話をしていきます。
1杯ぶんのコーヒー豆の量はカップの容量で違う!
まず、「コーヒーを1杯ドリップするときのコーヒー豆やお湯の量ってどのぐらいですか?」と聞かれたとき、一番最初に尋ねるのが「コーヒーはコーヒーカップで飲まれますか?それともマグカップで飲まれますか?」です。
目安として言うなら、コーヒー屋の1杯はコーヒーカップで120~150g、マグカップで出すなら200~250gです。
※ここではmlとgを区別しません
コーヒーカップで飲むのとマグカップで飲むのとでは、最大で倍以上も1杯のコーヒーの量が変わってくるのです。
たいていのコーヒー屋の1杯分のレシピは、できあがりが150g程度で作ってあります。
実際、ワールドバリスタチャンピオンの井崎さんも『世界一美味しいコーヒーの淹れ方』のなかで2杯分のコーヒーの量を300gとしています。
ちなみに、コーヒー粉は水分を吸うため、1杯150gのコーヒーを淹れようと思うと、だいたい160~165gのお湯を粉にかけてあげる必要があります。
出来上がりのコーヒー液が200gなら、かける湯量はだいたい220g程度でしょうか。だいたい10%弱、コーヒー豆がお湯を吸うと思って大丈夫でしょう。
そのため、ここでは一般的なコーヒー屋のコーヒーカップ1人分のレシピを参考に、「1人分のコーヒーを淹れるのに必要な湯量は約160g」としていきます。
※マグカップでの湯量については後ほど紹介します
コーヒー粉の量と水の量は1:15か1:16がおすすめ!
まず、最近のレシピはコーヒー粉の量と水の量を1:15か1:16にしていることが多いです。
簡単に言えば、160gの湯量をかけてドリップするときには、11gか10gの粉を使うということ。
たとえば、UCCのドリップコーヒーレシピだと、湯量160gに対して、10~12gのコーヒー粉を推奨しています。
UCCのドリップレシピ
■用意するもの
・コーヒー(中細挽き) 1杯分あたり10~12g
・お湯 注ぐのは1杯分あたり160ml程度(カップの温めなどにも使うので多めに用意)
・ドリッパー
・ペーパーフィルター
・コーヒーカップ
出典:https://www.ucc.co.jp/enjoy/brew/howto-drip_01.html
また、これはマグカップでも同じです。
日本で一番契約されているスペシャルティコーヒーのサブスクPostCoffeeでは、230mlのお湯に対して15gのコーヒー粉を用意しています。(約1:15のレシピ)
コーヒー(中挽き)15g
湯量230g(30g→100g→100gと3回に分けて注ぐ)
出典:[検証]ハリオV60vsカリタウェーブ スペシャルティコーヒーを美味しく淹れられるドリッパーを検証してみた。
↑PostCoffeeについての詳細はこちら
もちろん、ここに当てはまらないドリップレシピだってたくさんありますが、まずはこの辺の1:15か1:16のオーソドックスなレシピから始めてみるとよいでしょう。
メジャースプーンよりコーヒースケールがおすすめ
コーヒー豆をはかるときですが、多くの方がメジャースプーンを使ってはかろうとします。ですが、これはあまりおすすめしません。
理由として、コーヒー豆は豆ごとに体積がまったく違い、メジャースプーンでは1~2gぐらい平気で分量が変わるためです。
正確にはかるためには、コーヒースケールの使用をおすすめします。
「1~2gぐらい誤差でしょ!」と思われるかもしれません。
ただ、1~2gというのはかなり影響力が大きく、もはや別ものと言ってもいいぐらいのレシピになってしまいます。
特に、コーヒー豆は焙煎が深くなるほど(より深焼きになるほど)1粒あたりの重量が減るのに対し、体積が大きくなります。
深煎りにすると、水分量が減るのに対して、豆がハゼて膨らむからです。
そのため、浅煎りと深煎りのコーヒー豆では、同じメジャースプーンではかっても、まったく違う量のコーヒー豆になってしまうのです。
本格的に美味しいコーヒーを淹れたいなら、コーヒースケール(せめてキッチンスケール)は必須です。
おすすめのコーヒースケールはコスパを考えてTIMEMOREやHARIO製のスケールですが、詳細を知りたい方は下記の記事を読んでみてください!
杯数が増えるほど、1杯分の粉量を減らすのがセオリー
ちなみに、コーヒー1杯分のコーヒーレシピは1:15か1:16に沿うとして、それを2人ぶん、3人ぶんとドリップする場合は、コーヒー粉の量はどうすればいいのでしょうか?
一番簡単なのは、そのまま粉量も2倍、3倍としていくことです。
つまり、コーヒー粉10g、湯量160gのレシピで2人ぶんのコーヒーを淹れるとしたら、コーヒー粉20g、湯量を320gにすること。
とりあえず、このレシピで一度ドリップしてみて、味わいをどう感じるかで判断してみていいでしょう。
コーヒーの杯数が増えると、濾過槽が高くなる
ただ、一点問題があります。
それが「杯数が増えると、コーヒー粉の濾過槽(ろかそう)も高くなること」です。
濾過槽とは、つまりドリッパーのなかのコーヒー粉の高さのこと。
基本的には、これが高くなればなるほど、抽出されたコーヒー液はより濃くなっていきます。そして、当然1杯よりも2杯ぶんのコーヒー粉のほうが濾過槽は高くなります。
そのため、コーヒー屋によっては、2杯ぶんにするときにあえて1杯ぶんの2倍量より少なくするコーヒー屋も多くいます。たとえば、1杯10gなら、2杯18gなどです。
※というより、コーヒーインストラクターの教本などでは、これが推奨されています
ただ、この辺は感覚で調整しているところが大きいため、まずは自分の好みを見つけるのが大事。
先ほどお伝えした通り、まずは2杯、3杯でも、コーヒー粉の量は単純計算して2倍、3倍にしてみましょう。
それでコーヒーが濃いようであれば、倍量から1gずつ減らしてみるのをおすすめします。
ドリッパーの形で濾過槽をいじることもできる
少し話はそれますが、同じ10gのコーヒー粉を使っても、ドリッパーの側面の傾斜の角度がきついと、コーヒー粉の濾過槽は高くなります。一方で、ドリッパーの傾斜が緩いと、コーヒー粉は横に広がるため、濾過槽が低くなります。
つまり、同じドリッパーでも傾斜がきついほうが、より味わいがしっかりとしたコーヒーが抽出されるのです。
ドリッパーの傾斜をあえてきつくして、濾過槽を高くするというコンセプトのドリッパーはいくつかありますが、その代表的なものが三洋産業のスリーフォードリッパー -深濾過槽有田焼ドリッパー-です。
濾過槽のことを知ると、ドリッパー選びも楽しくなるので、ぜひ参考にしてみてくださいね!
まとめ
今回の記事のポイントは以下の4つです!
- コーヒー1杯ぶんの粉量はカップのサイズで変わる
- 粉量とお湯の量の比率は1:15か1:16
- メジャースプーンではなくコーヒースケールを使う
- 杯数が変わったら、基本は倍量。濃ければ粉量を減らしていく
以上です。
ご家庭でも美味しいコーヒーを楽しんでくださいね!
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